2024年07月13日

オーケストラ・アンサンブル金沢 不滅の抒情とロマンティシズム

石川県立音楽堂 コンサートホールで、 オーケストラ・アンサンブル金沢 第483回定期公演マイスター・シリーズ、2023-24シーズンフィナーレ「不滅の抒情とロマンティシズム」を聴いてきました。

  20240713 OEK&小菅優.jpg
  (SS席 1階席8列7番 7000円)

<プログラム> 上演2時間
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18 全3楽章

ピアノ演奏は、小菅優(こすげゆう)さん。
ヨーロッパを中心に演奏活動をしている彼女は、テレビでは見たことあるけど、高度なテクニックと美しい音色に定評がある演奏を生で聴くのは初めて。
もっと聴きたくなった。
ベートーヴェンのすべてのピアノ付き作品を徐々に取り上げる「ベートーヴェン詣」という新企画に取り組んでいるとのことだが、今度はベートーヴェン作品を聴いてみたい。

さて、プログラムノート(音楽ジャーナリスト、飯尾洋一さん)によると、この曲は、ラフマニノフにとって苦境を脱するきっかけとなった作品だとか。
1897年に満を持して発表した交響曲第1番の初演が大失敗に終わり、約3年にわたりスランプに陥り、目立った作品を発表できなかった。
しかし1901年、自らの独奏によりピアノ協奏曲第2番を初演すると大成功を収め、作曲家としての道が切り拓かれることになった作品。

第1楽章冒頭の厳かな序奏は、ラフマニノフの故郷のロシア正教の鐘を模している。
この曲を聴くと思い出すのが、浅田真央ちゃんが2014年の冬季オリンピック(ロシアのソチで開催)で、ショートプログラムで失敗したあと、感動的な完璧な滑りを行ったフリースケーティング。
今回も久しぶりに当時の動画を見ましたが、何回見ても胸に迫ってきます。

その流れで、同じく鐘をモチーフにした曲、前奏曲 嬰ハ短調 作品3-2「鐘」を使った、真央ちゃんの2010年バンクーバーオリンピックのフリースケーティングの動画も鑑賞。
ラフマニノフの作品は荘厳さと華麗さが一体となっていて感動的です。

休憩をはさんで後半は、
シベリウス 交響曲第2番 ニ長調 作品43 全4楽章
フィンランドを代表する作曲家シベリウスが7曲かいた交響曲の中で最も広く親しまれている作品。
1901年、パトロンたちから経済的支援を得て、家族とともにイタリアへ赴き、故郷北欧とは全く異なるイタリアと地中海の太陽の輝きと青い空、などからインスピレーションを得て書き進めた作品です。

今回の指揮者はスペイン出身のロベルト・フォレス・ベセス氏。
小柄で細身の体を大きく動かし、跳びはねるような指揮が印象に残りました。

<アンコール>
●ソリスト: ラフマニノフ リラの花 変イ長調 作品21-5
優しい、流れるような曲。

●オーケストラ: チャイコフスキー オペラ「エフゲニー・オネーギン」より ポロネーズ
「エフゲニー・オネーギン」は、ロシアの文豪プーシキンの名作「オネーギン」をもとに、チャイコフスキーが作曲したオペラ。
ラフマニノフからの、ロシアつながりの選曲でしょうか。


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2024年03月15日

オーケストラ・アンサンブル金沢 ミンコフスキの「第九」

石川県立音楽堂 コンサートホールで、 オーケストラ・アンサンブル金沢 第479回定期公演フィルハーモニー・シリーズ「困難を抜けて遂に歓喜へ。ミンコフスキの『第九』」を聴いてきました。

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(S席 1階席8列5番 セレクト会員で2割引6400円)

<プログラム> 上演80分(休憩なし)
ベートーヴェン 交響曲 第9番 ニ短調 作品125 「合唱付き」
 第1楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ、ウン・ポコ・マエストーソ
 第2楽章 モルト・ヴィヴァーチェ
 第3楽章 アダージョ・モルト・エ・カンタービレ
 第4楽章 プレスト ~アレグロ・アッサイ
 
ソプラノ: 中江早希 (当初予定のユリア・マリア・ダンさんが急性疾患のため来日不可)
メゾ・ソプラノ: 中島郁子
テノール: 小堀勇介
バス: 妻屋秀和
合唱: 東京混声合唱団

そう言えば、「第九」の生演奏をフルで聴いたことがなかったのよね。
ということで今夜聴いてきました。
開演にあたり、指揮者ミンコフスキさんが客席に向かって語りかけました。
「まずはmeditationしたいと思います。元日の能登半島地震で犠牲になった方々、先日亡くなった尊敬する小澤征爾マエストロ、そして世界の平和のために、戦争がなくなりますように」
そして、静かにバッハの「G線上のアリア」が捧げられ、指揮する手を下げることなく、そのまま第九の演奏へと入っていきました。

  「歓喜の歌」でクライマックスを迎える
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  (写真はOEKのX公式サイトから借用)

  小松雄一郎(ベートーヴェン研究で知られる音楽学者、政治運動家)の訳
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OEKの桂冠指揮者マルク・ミンコフスキのベートーヴェン交響曲全曲演奏。
本来であれば、2020年のベートーヴェン生誕250年を記念してが始まる予定でしたが、新型コロナウィルスの感染拡大によりミンコフスキ氏はじめ外国人アーティストの来日が困難になりストップ。
それでも2021年7月にミンコフスキの来日が実現して、ベートーヴェン全交響曲演奏会がスタート。
少しずつつないできて、今回の「第九」で遂に完結。

ミンコフスキさんは2018年9月~2022年までOEKの芸術監督を務めていたこともあって、OEKはもとより石川県立音楽堂、ひいては石川県に対しても愛情を感じてくれているように思いました。
それが冒頭の能登半島地震の被災に関する言葉にも表れたのでしょう。
終演後も楽団員たちがステージから去っていくなか、ずっと観客に向かって手を振り挨拶していました。

いろんな方が、いろんな形で能登を応援してくれています。
発災から2か月半が経ちました。 「がんばろうNOTO」


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2023年07月29日

金子三勇士と行く!〜クラシック音楽のタイムトラベル〜 第1回 バロックから古典派への旅

金沢市アートホールで3回シリーズ「金子三勇士と行く!〜クラシック音楽のタイムトラベル〜」の第1回 ピアノリサイタル~バロックから古典派への旅~を聴いてきました。

  20230729 金子三勇士と行く.jpg
  全席指定 H列7番(通路最前列の客席ほぼ中央で手元が見やすい、座りやすい)

クラシック音楽が本格的に始まったバロックから古典派の歴史をわかりやすい解説を交えながら演奏。

金子さんの解説に、ネットで調べた情報も追加して以下、備忘メモ。

クラシック音楽のルーツは教会で歌われた「聖歌」とのこと。
バロックの時代は16世紀から18世紀半ば。
代表的な作曲家はバッハ(音楽の父)、ヘンデル、スカルラッティなど。
(ヘンデルにはピアノ曲が少ないので演奏なし)
この時代の音楽は、パトロン(王族・貴族)ありきで、宮殿や庭園で食事や舞踏のBGM的な役割を担っていました。
楽器は、まだピアノが生まれる前で、前身とも言えるチェンバロや弦楽器が中心でした。

古典派の時代は、18世紀半ばから19世紀初め。
産業革命やフランス革命が起こり、社会が大きく変わった時代です。
代表的な作曲家はハイドン(シンフォニーの父)、モーツァルト(神童と呼ばれた)、ベートーヴェン(「世界初のフリーランス・ミュージシャン」とも)など。
音楽が教会や宮廷の閉じた世界から市民に開かれたことにより、喜怒哀楽といった感情を音楽で表現するように。
それに伴い、音楽を聴くことを目的に、ライブ会場に市民が足を運ぶようになりました。


前半は幸福感に満ちた「ト長調」の曲でまとめられていました。
(コロナ禍が終わり?幸せな気分で聴いてほしいということで)

バッハ: インヴェンション第10番 ト長調
バッハ: フランス組曲 第5番 ト長調
スカルラッティ: ソナタ K427 ト長調
ハイドン: ソナタ 第4番 ト長調 Hob ⅩⅥ G1
モーツァルト:第5番 K283 ト長調 Kv.283

後半はベートーヴェンのみ。
ピアノソナタ「悲愴」 (「月光」「熱情」との三大ソナタのひとつ)
「エリーゼのために」 (ベートーヴェンが片思いで失恋した女性テレーゼを想って作曲)
ピアノソナタ「月光」 (月光というタイトルはベートーヴェン本人が付けたわけではない)

古典派の頃になると、楽器が発展し、現在のピアノに近い、音の強弱が出せるフォルテ・ピアノに進化しました。

そうそう肝心のピアノ演奏について。
金子さん自身が話したとおり「今回は、力強いだけでない演奏」を楽しめました。
次回は、ロマン派。どんな話・演奏が聴けるか、12月が楽しみです。

【おまけ】
私の人生を振り返ると、中学生の頃、音楽の授業の課題で、自由に作曲するように言われて私が作ったバロック風の作品を先生に褒められました。(今でもメロディを覚えています)


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2023年05月21日

中瀬智哉 ピアノ・リサイタル

北國新聞 赤羽ホールで「中瀬智哉 ピアノ・リサイタル」を聴いてきました。

  20230521 中瀬智哉ピアノリサイタル.jpg
  (1階席6列13番 3300円。ちょうど鍵盤の正面の位置、12番か11番の席がベストかも)

<プログラム>
●ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第27番ホ短調 op.90 第1楽章、第2楽章
●シューマン アラベスク ハ長調 op.18
●シューマン 謝肉祭 op.9
~休憩~
●ショパン バラード 第1番 ト短調 op.23
●ショパン バラード 第2番 ヘ長調 op.38
●ショパン バラード 第3番 変イ長調 op.47
●ショパン バラード 第4番 ヘ短調 op.52
<アンコール>
●ショパン 子犬のワルツ
●シューマン トロイメライ

お隣富山県の入善町出身の17歳。
ほんの短いトークで、中学校の修学旅行で金沢に来て兼六園に行ったことや近江町市場で海老コロッケを食べたエピソードを話している姿の初々しいこと。三年ほど前のことなのよね、きっと。
4歳から母親にピアノを習い始めたそうで、地元の中学校を卒業後に上京し、現在は慶応義塾高等学校3年。
彼が憧れる牛田智大くんにも似た、育ちの良さを感じる雰囲気を持っていますね。

久しぶりに若手アーティストの"青田買い"的な鑑賞でしたが、聴いて良かったです。
ステージに登場してピアノの前に座って一呼吸。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタを細い体から想像していなかった力強い音で弾き始めたのには驚きました。
かと思うと、シューマンの謝肉祭では小気味よい躍動感を感じさせ、ショパンのバラードは滑らかに抒情的に弾きこなす。
弾き方が素直で、個人的に苦手な妙な感情移入(顔をゆがめたり、目を閉じて陶酔してみたりという過度な表情表現)がないのも好印象。

みずみずしい清らかさと、力強さをあわせ持った演奏に広がる可能性を感じました。
今後の活躍が楽しみです。


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2022年03月17日

オーケストラ・アンサンブル金沢 金沢から未来へ

石川県立音楽堂 コンサートホールで、 オーケストラ・アンサンブル金沢 第453回定期公演フィルハーモニー・シリーズ「ライジングスター亀井聖矢登場 金沢から未来へ」を聴いてきました。

 20220317 OEK亀井聖矢ピアノ.jpg
(SS席 1階席13列14番 マイチョイスで2割引4800円)

<プログラム> 上演2時間強 ※同じプログラムで3月23日にサントリーホールで東京公演
杉山洋一 揺籃歌(自画像II)—オーケストラのための (2021年度OEK委嘱作品、世界初演)
 出だしから続く不協和音のような旋律に若干の違和感を覚えつつ途中からは安心して聴けました。
 クラシックとは異なり、現代音楽は何の先入観もなく聴くので最初の印象が大事です。
 作曲の杉山氏は、2021-2022のOEKのコンポーザー・オブ・ザ・イヤー。
 好き嫌いは別として、こういう世界初演作品を聴けるのもOEKの地元ならでは。

ショパン ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11 全3楽章
 ピアノは亀井聖矢(かめいまさや)くん。
 2001年生まれ。先月の牛田智大くんに続き成長途上の若手ピアニストの演奏が聴きたくて。
 テレビでは何度か聴いたことがありましたが、素晴らしい。光線が放射されているようでした。
 今度はソロのリサイタルでたっぷりと堪能したいです。
<アンコール>
ショパン 24の前奏曲 作品28より 第15番 変ニ長調「雨だれ」

メンデルスゾーン 交響曲 第3番 ホ短調 作品56 「スコットランド」 全4楽章
 ドイツの作曲家メンデルスゾーン(1809-1847)は、1829年、20才の年に、当時のヨーロッパの上流階級に定着していた、裕福な家庭の若者がヨーロッパを巡る大旅行に両親の勧めに従って出かけた。
 英国スコットランドのエディンバラでは女王の公邸・ホリールード宮殿を訪れた際、スコットランド交響曲の始まりを思いついたものの、いったん棚上げされ、12年経過した1841年夏にようやく本格的に作曲が再開されて完成した作品。
 1842年、イギリスを訪れた際、ヴィクトリア女王に献呈した。
<アンコール>
バッハ 管弦楽組曲 第3番 ニ長調 BWV 1068 より エア

OEKの常任客演指揮者である川瀬賢太郎さんの躍動感ある指揮も小気味よく、アンコールもたっぷり聴けた充実のコンサートでした。


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